これまでの記事で、FIREするのにいくら資産が必要なのか、記事にしてまいりました。4%ルールというものがこのFIREの界隈ではよく知られており、それらをまとめておりました。
また、資産が多ければ多いほど、早期退職後にも豊かに暮らせるでしょうが、何のためにFIREするかと言えば、FIREして貴重な人生を楽しむためです。単純に資産を増やすことだけを目的にしていては、いつまでたっても会社員で1日8時間 x 5日間労働から抜け出すことができなくなってしまいます。
自分が退職した後は、それ以降の(余命) x (年間の生活費)で今後の人生で支出する生活費合計は計算できそうです。ただし、元気な社会人のうちはあまり想像しにくいのですが、高齢者になればどうしても医療費と介護費が必要となってしまいます。この部分は、特に若い方はなかなか想像つきにくいかと思いますし、また、比較的元気な40代、50代の方はご自分の老後のこと、老いていくことをあまり考えたくない部分かもしれません。ですが、本当にFIREを目指すならば、具体的な数値を計算するのであれば、この部分は避けて通るべきではありません。
そこで今回の記事では、医療費と介護費を算出してみます。
結論からいくと、65歳から90歳までの医療費は637万円、夫婦で1,274万円です。内訳は以下の通りです。
年齢 | 年間の必要額[万円] |
65-69 | 22.01 |
70-74 | 24.21 |
75-90 | 27.06 |
また、例えば介護付きマンションを購入するなど、それなりに豊かに生きたければさらに資産が必要となります。あくまで平均的に、ということでご覧いただければと思います。
医療費
こちらのサイトから参考にさせていただいております。
こちらの金額もすべて自己負担ではなく、69歳までは3割負担、70歳になると2割負担、75歳になると1割負担(現役並み所得者は3割負担)です。
ファイナンシャルフィールド 65歳から80歳まで、医療費は「250~350万円」が自己負担!? 老後に必要な医療費の目安を解説から引用
自己負担の割合は、2024年の現段階において、上の通りとなっております。ですが、昨今の厳しい財政状況を考えると、75歳以降の後期高齢者窓口1割負担は、ほぼ持続不可能だと考えられます。現時点において、一定の年金収入などがある方は窓口2割負担となっておりますが、もう10年もすれば、ほぼ間違いなく75才以降(=後期高齢者)だけでなく、70歳以降でも一律3割負担(あるいはそれ以上)になるのではないかと思います。詳細はこちらの厚生労働省の記事をご参考下さい。
ここ数年で急速に私たちのあらゆる税金や社会保険料の負担金額が増え始めているのですが、まだまだこの程度ではすまないだろうということについては、十分な注意が必要かと思います。
冒頭で記載しました表は、全年齢でいったんは3割負担として計算しました。65歳から90歳になるまで合計すると、637万円必要です。ご夫婦の場合は、1274万円必要です。
介護費
自身が健康で何の問題もなく、仕事や運動などができるうちは、なかなか想像つきにくいものですが、誰にでも介護の必要というのは出てまいります。このような費用の準備も怠らないように入念に考えておきましょう。
今回は、以下のサイトを参考にさせていただいております。
詳細はこちらの記事をご一読下さい。最重要な部分のみを引用します。
介護に必要な費用=一時的な費用+毎月の費用×介護期間
=74万円+8.3万円×61.1カ月
=約581万円
フィデリティ証券 老後の介護費の自己負担額は平均でどのぐらい?具体例でチェックしようから引用
一度介護サービスが必要となると、平均61.1か月介護サービスを使うこととなります。一時費用(介護用ベッドの購入や住宅改修など)と月額介護費用(介護サービス利用料)で計算され、上の通り、約581万円となります。
こちらも夫婦の場合は、目安として581 x 2 = 1162万円ということでよろしいかとおもいます。
サマリー
今回は、世帯で必要な金額として、夫婦二人でどちらも90歳を寿命と考え、合計値を試算しました。まとめると以下の通りの金額となることが分かりました。
介護費 = 1162万円
また、今回、医療費は70才以降も現役と同じく、3割負担としておりますが、これにはインフレ率が考慮されておりません。インフレによるこれらの負担の増加は、ほぼ間違いなく発生します。医療費と介護費だけは、物価上昇の影響を受けないということは、考えられません。
さらに、昨今の財政の急速な悪化で、例えば窓口4割負担などになることも、十分考えられます。
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