金融資産を考慮した医療費負担増について

税金・社会保険料

最近は、少子高齢化や実質賃金の減少をはじめとしたさまざまなネガティブなニュースをいつも見るようになってまいりました。経済的にかなり苦しくなっていることを、多くの国民が感じて長い時間が経過し、もはやどうやっても隠せなくなってきたのだろうと思います。

また、これらに伴い、政府の財政も確実に年々苦しくなってきております。またここ数年、税金を上げるだけでなく、社会保険料などをあげていこうという意図もだんだんと政府は隠さなくなってまいりました。

FIREを目指す方々あるいはすでに会社を退職した方にとっては、深刻な話です。ただ、そうはいっても、政府がこのような徴収強化を改めるつもりはない以上、FIREを目指すのであれば自分で新NISA、必要に応じて夫婦そろっての新NISA満額までの早期埋め立て、可能であれば増収入などの対策を打つ必要がでてきそうです。周囲と同じことをやっていたのでは、もはや小金持ちにすらなれないので、できることから前倒しで計画を進めましょう。

私は、48歳で20年以上勤めあげた会社を退職、現在FIRE生活を送っております。比較的早期にFIREできたことと思いますが、どうしてこれができたかというと、ひとえにS&P500の成長を信じて投資を続けてこれたからです。詳しくは、以下の記事をご参照ください。S&P500への投資というのは、誰にもできる、再現性の高い方法なのです。

さて、今回は、政府が金融資産に応じた医療費負担を求めるニュースが出ております。FIREを目指すのであれば、まずはこういった政府の考えを知らなければならないと思いましたし、理解しているからこそ、それに合わせた対策も考えていけると思います。

金融資産に応じた負担とは

2023年12月に、金融資産に応じた病院窓口での負担をもとめるとの記事が出ております。以下はまずは産経新聞の記事です。

医療費の窓口負担が3割となる高齢者の範囲拡大を令和10年度までに検討するなど国民の負担増につながる内容を盛り込んだ。金融資産を考慮した支払い能力の判定も課題とした

(太字は私が強調のため付け加えました)

つづいて、日経新聞の記事です。

社会保険料の上昇は現役世代の手取りが伸び悩む一因となり、少子化対策を阻んでいるとの指摘もあります。そこで現役世代への負担の偏りを小さくするため、政府は収入の少ない高齢者でも多くの資産があれば一定の負担を求めることを検討します

(太字は私が強調のため付け加えました)

ポイントとしては、保有している金融資産に応じて窓口の負担を増やしていく、という点です。軽く書かれていることですが、実にひどい話だと思います。

これまで例えば消費税であれば、多くを利用すれば多くの税金がとられる、あるいは所得税であれば多くを稼げば累進課税的に多くの税金や社会保険料が課せられる、というようにこれまではフロー(お金の流れ)に対して課税されておりました。

ところが、今回の変更はフローが少なくても、ストックが多ければ、多くを負担してもらおう、という考えです。

より年収の多い人に負担を求めていく、ということもある程度は致し方のないことかと思いはします。ですが、今回の場合は、節約をしてそのお金を新NISAに回して資産形成してきた、あるいは貯金してきた人たちに対してより多く負担を求め、節約せずに人生を謳歌してきた人たちに対してはより少ない負担を求めるものです。まさに、「働いたら罰金」に加えて、「資産を貯めたら罰金」という時代の到来です。

例えば、以下のような考えはごくごく自然なことだろうと思います。

おそらく最初の数年間は、例えば5億円以上の資産をもつ超富裕層のみを対象とすることでしょう。ですが、そこから数年経過し、さらに10年以上経過した後は、資産500万円程度以上を対象とすることでしょう。

インデックス投資家に及ぼす影響

新NISAやiDeCoなどを通じてインデックス投資で資産形成し、早期退職を目指す、というFIRE王道パターンが崩れそうです。

私たちの株式や債券などの資産は、ほとんどの場合証券会社で購入されており、その口座開設にはマイナンバーを提示しているからです。

マイナンバーをもとに、新NISA、iDeCo、その他複数証券会社の口座を合算することは、それなりの法律の変更、システムの改修などが必要だろうとは思います。それでも、政府はきっとやるでしょう。それほどまでに今の日本の財政はひっ迫しているのです。フローに対する税・社会保険徴収の強化だけでは追いつかなくなり、今後はそれに加えてストックに対する強化も行っていくのです。

インデックス投資家としての対策

産経新聞によると、令和10年度までに何らかの結論を出す、ということのように見えます。今が令和5年度の終り頃(令和6年2月)であるので、約5年間、調査や議論などの時間があります。現実的な運用方法や負担の具体的なパーセンテージの詳細を議論するには、十分な時間でしょう。ほぼ間違いなく、FIREされている方、あるいはFIREを目指されている方には、ネガティブな結論が出るでしょう。

具体的にどのようなものかはわからないのですが、銀行預金や通常の証券口座だけでなく、新NISAやiDeCoの資産も含まれるでしょう。新NISAは利益が非課税になる、iDeCoは節税効果がある、というだけであって社会保険料や窓口負担については何も言われておりません。

そうすると、賃貸をやめて不動産を購入する、などは有力な対策になるかもしれません。また、海外へ資産を逃す、ということも対策かもしれません。

私の場合は、本当にそうなった未来が来た場合は、特定口座の資産を売却して中古のマンションを仕方なく購入することと思います。また、私は米国駐在の経験があり、米国citi銀行に口座を持っております。その時が来た場合は、citiに送金する、ということもためらわずに行うでしょう。citi銀行には、私のマイナンバーは提出しておりませんので。

まとめ

政府としては、「少子高齢化があらゆる問題を難しくしている」というスタンスなのでしょう。従って、このような税や社会保険の徴収強化には、一定の正当性があると言いたいのでしょう。

私からすると、少子高齢化になることは2,30年前から分かっていたことであったにもかかわらず、変革することから逃げ続け、特定の集団のみを利益誘導するような政策を続けてしまった結果、国全体として税収不足・支出増大に歯止めがきかなくなってしまったのだろうと思います。

今後、日本政府がそのような方針を変更することはないでしょう。今後も特定団体・特定世代を優遇し、大型支出を行い、財源の不足には税金や社会保険料のさらなる徴収でカバーしようとすることでしょう。合理的に未来を予測すると、残念ながらそのようにしか考えられません。これまで数十年にわたって改善できなかったことが、今後は改善できるだろう、と予測を立てる方が相当危険です。また、大きな視点に立って、そういったことを問題と理解している政治家がいるとも思いません。

悲観的でなく、現実的に、FIREを目指す方が実現していくこととしては、金融知識をつける、会社での収入増加を目指してキャリアアップを狙う、新NISAをフル活用する、といったことになるでしょう。未来が分かっている人には、幸いなことに、多くの対策を立てることができるだろうと思います。

 

今回も、最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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