「FIRE」あるいは「早期退職」というと、夢のような話に聞こえるかもしれません。ある人は、会社に行かなくてはいけない、会社で嫌いな仕事しなければいけない、気難しい上司に小言を言われなければならない、面倒な部下をやる気にさせなければならない、というネガティブなことをしなくてもよくなる状態を考えるかもしれません。
あるいは、自分の趣味を好きなだけ追及するために、自分のやりたいことを自分なりに極めてみたいため、その時間を捻出するためにFIREする、という方もいらっしゃるでしょう。
どのような理由であっても、FIREした後は、それまで得られていた固定的・安定的な収入は得られなくなります。このため、このような収入なしで、生活が成り立つかを予想しなくてはなりません。
今回は、すでにFIREしている私が、私の体験、書籍やyoutubeで勉強してきたこと、またファイナンシャルプランナーと面談して気付いたことなどを記事にしていきます。実際に私が体験したことをもとに書いていくので、正確性についてはどうしても劣る部分はあるかと思います。ですが、ネットで言われているような、平均的な数値だけで終わらせることなく、自分自身の考察も話していきたいと思っております。
今回の記事の対象者ですが、
- できるだけ早く早期退職したい方、特に退職を数年以内に検討されている方
- すでに早期退職しているが、マネープランを見直したい方
を対象にしております。早期退職は数年以上先、という方も、必要資産の考え方自体は有用だろうと思いますが、まずはとにかくどうやったら資産形成を早く行えるか、の方にフォーカスされた方が良いだろうとも思います。
なお、私がどのような過程を経て、48歳でFIREできたのかは以下の記事をご覧いただければと思います。
FIREに必要な資産の一般論
一般的には、FIREするためには、年間の支出額の25倍から30倍の資産が必要と言われています。これは、「4%ルール」と呼ばれるもので、年間の支出額の4%以下を引き出すことで資産が枯渇しないという考え方に基づいています。ここでいう資産というのは、リスク資産のことで、株式や債券、不動産などを指します。例えば、年間400万円の支出がある場合は、
の資産が必要です。この資産から毎年4%(税引き後400万円)を引き出して生活することができます。
これらの計算は大まかな計算としてはそれなりに正しいかもしれません。ですが、あと数年以内にFIREできそう、という方にとってはおそらくまだまだ計算しなければいけない部分があるだろうと思います。例えば、将来のもらえる年金をどうするか、医療費や介護の費用をどうとらえるか、といったあたりは、調べておく必要があるでしょう。また、両親・義理の両親の介護費用も場合によっては想定しておく必要があります。
また、正しく予測することが難しい項目として、平均余命はどのくらいであるのか、将来のインフレ率をどう見越しておくか、リスク資産はどのくらい増えていくか・減っているか、現金をどのくらい保有しておくか、などなかなか予測の立てにくい部分も、自分なりに考えなければなりません。
何よりも、自分がFIREした後、自分がどのようなことをしたいのか、あるいは家族はどのようにしたいのか、をよくよく考えておく必要があります。
ファイナンシャルプランナーと面談
手早く知りたい場合は、ファイナンシャルプランナーに相談する、というのも部分的には強力な方法です。彼らは非常に多くの顧客を持ち、数多くライフスタイルとお金の問題について提案してきたのだろうと思います。
ただし、彼らも思ったほど、この早期退職というテーマには詳しくないことが多いです。私自身の経験として、退職年(2023年)と退職前年(2022年)で4人ほど面談を行いましたが、退職金に関する税金、年金、退職後の社会保険などに関することを大体でもいいので、受け答えできた方は一人だけでした。
細かい数値まで求めているわけでもないのに、かつ事前にこちらが聞きたいことをメールしているにも関わらず、調べればわかるような内容を持ち帰ってしまうというのは、正直あまりプロフェッショナルを感じることはありませんでした。
彼らのビジネスモデルの問題点
なぜこのようになってしまうかというと、これは明らかで、彼らの利益構造として、無料で家計の相談を受け、そこで問題点を明確化し、何らかの保険商品や投資信託を売ることで、その手数料をもらうビジネスモデルになっているからです。
毎月の収入・支出を見て、問題点を確認する、ということについては彼らもプロなのだろうと思います。保険や投資信託を営業しない代わりに、彼らの得意分野のみを、例えば、1回数千円で提供するようなものであれば、それなりに競争力があるのではないかと思います。
私自身は、リスク資産の中では、米ドル建て資産(S&P500)がほとんどであり、これ以上米ドルの為替リスクは取りたくない、とお伝えしているのに、米ドル建ての保険商品を提案してきて、「中身をあれこれ考えるのでなく、預けておくと増えるんだ」という説明をされたことがあります。あまり顧客のことを考えていないように見受けられました。
早期退職に興味がない
彼らにとって早期退職は遠すぎる目標になってしまっていて、自分のこととして考えることができないのではないかとも考えております。彼らはお金に関することはプロ中のプロのはずではありますが、私の出会った30代、40代前半のFPの方は、言葉の端々に「自分にはまだまだFIREには遠い」という雰囲気が出てしまっておりました。
その一方で、すでに60代のファイナンシャルプランナーにもお話を伺うことができました。この方はすでに会社を退職されているとのことでした。そのためか、退職金に発生する税金などぱっと答えることができたため、非常に頼もしい印象を持ちました。
どのような観点で話を聞くべきか
普段から家計簿をつけ、定常的に家計管理をまわしているのであれば、毎月発生する支出については最適化が済んでいることと思われます。聞いておくべきは、将来的なライフイベント全般はあるだろうと思います。この部分は、やはり多くの顧客を見てきているのですから、有用でしょう。
一方で個別論については、今はネットや書籍などで多くの情報が、かなり細かいレベルまでとれるようになっております。個別論については、自分で勉強していくのがよいでしょう。結局のところ、自分で調べたことでないと、すぐに忘れたり、思わぬ考慮漏れがあったりするものです。
サマリー
今回は、FIREの必要資産を計算するための方法の1つめを記事にしました。次回以降も、計算方法を本格的に更新してまいります。
今回も、ご覧いただきまして、ありがとうございました。
コメント