会社員が早期退職を予定していて、賃貸に引っ越したい場合、会社勤めをしていないため信用がなく審査が通りにくくなってしまう、というのは最大の課題でした。この早期退職者が次の住宅をどうするか問題は以下でまとめておりました。
UR賃貸に申し込むかどうかで、まず一番初めに考えることとして、そもそも本当にUR賃貸は民間よりも安いのか、ということだろうと思います。
私自身、そのような観点で入念に比較して、最終的にUR賃貸を選択しました。早期退職を考えている多くの皆さんも、きっとそのような比較検討はされているだろうと思います。
今回も、民間とURの賃貸のどちらにすべきかを考える場合に必要となる家賃を比較して考察したいと思っております。考察するにあたり、実際の周辺の物件と見比べての比較をしてみます。
- UR家賃はどう捉えられているか
- UR賃貸 札幌狸小路と民間賃貸
- UR賃貸 札幌北一条と民間賃貸
- UR賃貸 札幌平岸と民間賃貸
- まとめ
また、今回の記事の対象や前提条件ですが、
- 数か月以内あるいは1年以内に退職しようと考えている方
- 退職後、数か月から数十年は再就職しない方
- 退職後に賃貸に引っ越しを考えている方
を対象にしております。退職を考えていなくても、単にURに引っ越しを検討している、という方も是非ご覧ください。
UR家賃はどう捉えられているか
不動産大手サイトのSUMOでは、以下のように記載されております。
【1】部屋数のわりに家賃が高め
部屋の面積が家賃に反映されるため、同じ部屋数の民間の賃貸住宅に比べると、面積が広い分、家賃は高めに設定される傾向が。
同じく大手サイトであるHOMESには以下の記載があります。
3Kや2Kといった物件も多く、部屋の面積が広いため家賃が若干高めの傾向にあります。
他にも同じような記載が不動産大手サイトには多数掲載されております。どれも「URは部屋の面積が(相対的に)広いため、家賃が高く設定される」という分析でした。
ですがこれらは、「部屋の広さに応じて家賃が設定される」というごく一般的な家賃の傾向が、URにもそのまま適用されていることを述べているだけであり、これらをもってUR賃貸が割高・民間賃貸は割安、という判断はできません。そもそも家賃は部屋の広さ以外にも多数の要因で決まってくるものであるので、それらを考慮して割高・割安を判断する必要があります。
これらを考察する目的で、札幌市にある以下3物件について、民間賃貸と比較することで、賃料は周辺の物件と比較して高いのか安いのか考えていきたいと思います。
UR賃貸 札幌狸小路
こちらは立地がかなりいい物件です。徒歩5分で地下鉄駅に行けますし、市電も利用可能です。札幌市中央区役所と同じ建物ですので、役所の手続きなども簡単です。また中央区民センターと同じ建物ですので、図書館なども気軽に利用できます。なにより、物件名に狸小路とあるとおりに、札幌市のグルメ、お土産など人気スポットに徒歩数分で行ける、という場所柄です。
2023年12月時点ですが、67㎡の2DKで83,600円となっております。札幌市にあるUR賃貸ではかなり強気の価格帯でもあります。こちらに記載がないのですが、手元のUR住まいガイド北海道版によると、昭和56年(=1981年)から管理開始とあります。少なくとも、42年前からUR賃貸が管理を開始していることが分かります。ですので、築42年あるいはそれ以上です。
UR賃貸から引用
民間賃貸と比較する場合は、例えば以下が挙げられるかと思います。
HOMESから引用
こちら、UR物件から徒歩3分前後離れておりますが、他の部屋の間取り・広さ的にはかなり類似していると思います。狸小路から離れますが、名前の通り大通公園には近くなります。
上の物件をまとめると以下の通りになります。
UR – 札幌狸小路 | 民間 – ヒルズニューシティレジデンス大通公園 | |
賃料 (管理費込み) |
8.66万円 | 9.31万円 |
立地 | かなり便利 (地下鉄徒歩4分) |
かなり便利 (地下鉄徒歩4分) |
間取り | 2LDK | 2LDK |
広さ | 67㎡ | 65.6㎡ |
築年数 | 42年以上 | 24年 |
0.65万円民間の方が高い結果となりました。比較的築年数の浅い民間賃貸に、どれだけ価値を感じるかだろうと思います。また、民間の方が、一般には内部の設備は新しいことが多く、そこも価値を感じるところではないかと思います。さらに言うと、上述の大手サイトの「URは部屋の面積が相対的に広いため、家賃が高く設定される」ということも、この比較を見た場合はそうとも言えない気もします。
あくまで私個人の感想では、UR賃貸は築年数42年もしくはそれ以上ではありますが、そこまでの古さを感じることはないため、この値段であれば、URを選ぶだろうとは思います。ただ、そこまで大きな差はなかったなという感じもします。
UR賃貸 札幌北一条
続いて比較する物件は以下の札幌北一条です。こちらも地下鉄駅から徒歩5分という立地で、かつ大通公園にも数分でついてしまう好立地です。2DK、50㎡で64,800円とこちらも相当に強気な価格ですが、立地が非常に良いためでしょう。管理開始は1977年ですので、築46年もしくはそれ以上です。
UR賃貸から引用
一方で比較対象となる賃貸で、同程度の金額、同程度の広さとなると以下です。賃料は近いのですが、こちらの物件はURとは違い地下鉄駅からはだいぶ遠くなります。
HOMESから引用
比較表は以下の通りです。賃料はほぼ同一、立地はURの方がよく、間取り・広さ・築年数は民間の方が良いです。
UR – 札幌北一条 | 民間 – プロムナード桑園 | |
賃料 (管理費込み) |
6.89万円 | 7.02万円 |
立地 | かなり便利 (地下鉄徒歩4分) |
便利とは言わない (地下鉄徒歩15分) |
間取り | 2DK | 2LDK |
広さ | 50㎡ | 55.43㎡ |
築年数 | 46年以上 | 26年 |
これだけを見ると、同程度の賃料で、立地以外は民間の方が優れております。立地を重要視する人でもなければ、これだけを見た場合は、どうも民間の方がコストパフォーマンスがよさそうな感じもします。
ただ、比較対象にUR札幌北一条とほぼ同じ住所であれば、倍くらいの金額の物件があったことも念のため記しておきます。ですので、立地を見た場合は非常に素晴らしい物件であり、そのため50㎡とファミリー向けではない広さであっても、これだけの価格を維持できていると思われます。
UR賃貸 札幌平岸
こちらの物件は、札幌市の都心からはある程度離れており、落ち着いた住宅街です。都心から離れてはおりますが、地下鉄南北線を使えば、9分で大通駅に到着します。価格も3DK 58㎡で52,400円(通常家賃と共益費)で、ファミリーでもゆったり使えそうな広さです。昭和49年(1974年)管理開始とありますので、築49年もしくはそれ以上の築古の物件です。
UR賃貸から引用
同じような立地、広さですと、例えばですが6.3万円の以下の物件があります。
HOMESから引用
以下がその比較表です。ここでも、やはりURは築年数の古さが目につきますが、一方で賃料は安く抑えられております。月々の家賃の差は、一年では21.36万円の差となり、これだけを見るとURを選びたくなるように感じます。
UR – 札幌平岸 | 民間 – アビタ平岸6-9 | |
賃料 (管理費込み) |
5.24万円 | 7.02万円 |
立地 | 便利とは言わない (地下鉄徒歩14-17分) |
便利とは言わない (地下鉄徒歩13分) |
間取り | 3DK | 2LDK |
広さ | 58㎡ | 55.62㎡ |
築年数 | 49年以上 | 16年 |
念のため、こちらのURのデメリットですが、手元にあるUR賃貸のしおり(2023/4版)によると、瞬間湯沸かし器が設置されておりません。設置費用は本人負担、また退去時の撤去も本人負担です。また、洗濯排水は通常の洗濯パンから排水ではなく、浴室への壁穴にホースを差し込んでの直接放流ということです。特に浴室への放流となると、ホースを差し込み忘れて洗濯排水してしまうなどがあった場合、下の階への漏水事故になってしまいます。
これらは、URが築古であることにより生じている小さくないデメリットだろうと思います。
まとめ
今回は3つの物件のみをピックアップしました。以下がサマリーになると思います。
- 「部屋が広いので、UR賃貸は割高になる」というような簡単な一言ではまとめることはできない
- UR賃貸が一方的・全面的に民間よりコストパフォーマンスが優れているわけではない
- 全般的にURは築古
これは私がUR賃貸と民間賃貸の両方を探していたときの肌感覚とも通じるものがあります。
今回、UR家賃は民間と比べて家賃が高いかどうかの記事があったため、このような考察をしてみました。家賃・部屋の広さ・築年数など、どの部分を重要視するかは人によりけりなので、UR賃貸であれば、いつでもお得、ということでもなさそうです。
さらにUR賃貸の中には、瞬間湯沸かし器がないものがあります。これらはお金で解決できるものではあるものの、あらかじめ必要な費用として見込んでおく必要があります。
やはり毎月のランニングの費用だけでなく、一時金も含めた、トータルでの算出が必要になりそうです。この部分は次回の記事でフォローしたいと思っております。
今回も、ご覧いただきありがとうございました。
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