UR賃貸と民間賃貸との比較

FIRE後の住宅

早期退職するにあたり、退職後の住宅は、よくよく検討しました。これは、家賃やそのほか諸経費はどのくらい準備すればいいのか、現在の賃貸と次の住宅の賃料の二重での払いの期間、引っ越し業者との調整などなどです。住宅を購入するのであれば、相当な一時金を準備する必要がありますし、賃貸にするのであれば、毎月定常的に、一生涯にわたり数万円以上の支出が発生します。それだけの大きな支出になりますから、生活費や生活環境、将来の計画などに大きく影響する重要な決断であるため、ある程度時間をかけてじっくりと検討する必要があります。

以前の記事で、早期退職者が持ち家を持つことについての考えは以下で記載させていただきました。こちらもよろしければご参考にどうぞ。

今回、賃貸を考える場合に、UR賃貸と民間の賃貸を比較して、考察したいと思っております。考察するにあたり以下を中心に考えます。

  • UR賃貸とは
  • UR賃貸と民間賃貸の比較
  • まとめ

また、今回の記事の対象や前提条件ですが、前回と同じく、

  • 数か月以内あるいは1年以内に退職しようと考えている方
  • 退職後、数か月から数十年は再就職しない方
  • 退職後に賃貸に引っ越しを考えている方

を対象の読者としてとらえております。また、特に3か月以内に退職と引っ越しを考えている方は、そろそろ本腰を入れて考える必要があります。

ここでは実際に私が申し込みから住んでみて、私が体験したこと、感じたことも交えて記事にします。

なお、私は上の記事の通り賃貸派であるのですが、経済的に例えば中古マンションを購入することが合理的であるなら、そのようにしたいとも思っております。ただ、私のような一個人が中古物件の目利きができるかというと難しいだろうなとも思うのです。それよりも、マンション購入に使う費用を、S&P500もしくはオルカンなどの投資信託の購入にあてるほうが、個人にとっては大きな失敗をすることはない、そこそこ無難な選択ではないかと思うのです。

UR賃貸とは

UR賃貸とは、都市再生機構が管理する公的な賃貸住宅です。一般に、民間の賃貸と比べて、家賃が安いと言われており、更新料や仲介手数料が不要です。また、敷金や礼金も少ないあるいは無いとされております。なにより、保証会社・保証人が不要なのは大変リーズナブルなのではないでしょうか?

必要な費用

契約時に、日割りで発生する家賃(共益費)および敷金(家賃1か月分)が必要です。翌月以降、毎月の家賃が発生します。これはかなりお得な料金形態になっていると思います。

私の場合も、契約時には、「家賃2か月分を用意してくれれば大丈夫」と言われておりました。

通常の民間賃貸で必要な費用と比べると、相当にシンプルですっきりしていると思います。

申し込み資格

申し込み資格はこちらに記載されております。普通の会社勤めをされていた方が早期退職でURに申し込むのであれば、以下のみが引っかかるところかと思います。それ以外は特段問題ないことかと思います。

1.申込者本人の平均月収額が基準月収額以上ある方

基準月収には、家賃の4倍、などと定義されております。FIREされる方は、このような月収がないと想定されます。ただし、その場合であっても以下の通り、家賃の100倍の貯金があれば、契約することができます。

申込者本人の貯蓄額が、基準貯蓄額(月額家賃の100倍)以上ある場合、1に定める収入要件を満たさない場合も、それに代えることができます。

100倍であれば、FIRE達成者であればおそらくそこまで難しくはない金額です。私の場合も、この制度(貯蓄基準制度と呼びます)を利用しました。

UR賃貸の築年数

UR賃貸は築40年以上経過した古い物件がかなり多く存在しております。札幌市中央区を例にして、築年数をまとめてみます。札幌市中央区のUR賃貸は以下の5団地のみです。どれも築40年以上経過しております。札幌市内すべてを確認しましたが、平成以降は2団地のみでした。

物件名 住戸形式 管理開始年度 築年数(2023年時点)
札幌狸小路 1DK, 2LDK, 3DK 1981年 42年
札幌南3条第二 1DK, 2DK 1972年 51年
札幌北一条 1LDK, 2DK, 2LDK, 3DK 1977年 46年
札幌北12条 2DK 1971年 52年
札幌丸山北町 2DK, 2LDK, 3DK 1967年 56年

ですが、こちらのURのページにあります通り、たびたびリノベーションが行われているということです。そこまでの古さは私には感じられませんでした。また、入居前に畳、壁紙はきれいにされていたり、キッチン・トイレなどの水回りはクリーニングされておりました。

UR賃貸住宅が最初に建てられたのは今から60年以上前で、一部には古い物件が残っています。

(中略)

リノベーションを行った部屋など、年代を問わず住みやすい部屋がいくつも誕生しています。

また、URの外装もなかなかきれいにされております。あまり住み心地とは直接関係ないかもしれませんが、外見が古めかしいと、どうも帰宅時にはテンションが下がるような気もするものですが、URの場合はそうではありません。

内装

上の通り、全体的には、古さを感じない作りになってはおります。

ただ、それでも細かく見ていくと、以下のような設備の機能の不足はあります。これらは物件によってもかなり差がありますし、民間賃貸であっても機能がないものは多数あると思います。どのくらい個人が重みを置いて考えるか、ということになるだろうと思います。

  • マンション入り口にオートロックがないため、不審者が玄関の前まで侵入してくることは可能
  • ドアホンは音声のみ
  • 洗面台がやや小さい
  • 洗面台の隣に、直径15センチ程度の排水管のようなものがある (通常は壁の中にあり、一定の新しさ物件であれば、目に触れないものと思われます)
  • 畳の部屋が多い
  • 給湯器がついてない物件があり購入など必要あり

私としては、給湯器のない物件は選択しませんでした。

申し込み・手続き

URは申し込みや契約までの手続きが、民間と比べると、相対的には煩雑です。例えば、以下のような内容です。

  • 契約や申し込みでは、現地のURの事務所に行かなければならない。リモートでの面談などは行っていない
  • 鍵の受取は、契約後10営業日と決まっている
  • Eメールでのやり取りができない、全て電話でのやり取りとなっている
  • 1日に複数の物件を内覧することはできない

リモート面談ができない、Eメールのやり取りができない、などは民間ではほとんどないだろうと思います。これらも忙しい会社員にとっては相当な制約になってきます。

 

まとめ

今回は、UR賃貸とはどんなものかを俯瞰してまとめてみました。上述の通り、UR賃貸にはメリット・デメリットがそれぞれありますので、以下の通りにまとめます。

メリットは以下です。

  • 更新料や仲介手数料、保証人、礼金が不要
  • 申し込み資格が得やすい(早期退職者でも審査に通りやすい)
  • 築年数ほどの古さは感じないことが多い

デメリットは以下のようなものがあります。

  • 内装の設備が古いことがある
  • 申し込み・契約の手続きが煩雑

 

私としては、更新料や、保証人が不要な点を重要視し、UR賃貸を選ぶことにしました。ですが、民間にもよさそうな物件はいくつかあり、そちらもなかなか捨てがたい感じでもありました。なお、UR賃貸は更新料は不要であるものの、月額の家賃が高いのでは、という意見もネットでは見られます。この辺りは、十分に吟味したうえでご検討いただければと思います。

なお、以下の記事では、実際に個別の物件を横並びにして、UR賃貸と民間賃貸を比較しました。よろしければこちらもご参考にどうぞ。

 

今回も、ご覧いただきまして、ありがとうございました。

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